細胞標的化による組織再生

CELL-TARGETED TISSUE REGENERATION

細胞標的化による組織再生

必要な細胞を、必要な場所へ。

損傷した組織が再生するためには、単に材料で傷を覆うだけではなく、その場所に必要な細胞が集まり、接着し、増殖し、組織として再構築されることが重要です。

株式会社バイオジップコードでは、特定の細胞や組織を認識する短鎖ペプチドBiozipcode™をバイオマテリアルへ応用し、再生に必要な細胞を目的の場所へ誘導する新しい組織再生技術を研究しています。

これまでBiozipcode™は、薬剤や遺伝子を目的の細胞へ届ける「細胞標的化技術」として研究されてきました。

この考え方を組織再生へ広げ、

治療分子を細胞へ届けるだけでなく、
必要な細胞そのものを、再生させたい場所へ導く。

ことを目指すのが、このパイプラインです。

移植や縫合を必要とせず、置くだけで組織に生着できる組織再生用の素材の開発。火傷などを中心とした皮膚のダメージを回復させる新時代の再生療法。

基礎研究

WHY CELL TARGETING FOR REGENERATION?

なぜ、組織再生に「細胞標的化」が必要なのか。

組織が損傷すると、さまざまな細胞が修復過程へ参加します。

しかし、再生に必要な細胞が十分に集まらなかったり、適切な場所に定着できなかったりすると、正常な組織形成が進みにくくなる可能性があります。

そこで私たちは、

どの細胞が必要なのか
↓
その細胞を認識するBiozipcode™を見つける
↓
Biozipcode™を再生材料へ付加する
↓
必要な細胞の接着・集積を促す

というアプローチを研究しています。

従来の「材料を置く」という考え方から、細胞を選択して呼び込む機能を持つ材料へ。

これが、Biozipcode™を用いた再生医療材料の基本コンセプトです。

THE CONCEPT

Biozipcode™ × Biomaterial

研究資料では、細胞標的化ペプチドを生分解性材料へ組み合わせる組織再生コンセプトが示されています。

基本的な流れは、

生分解性材料
+
細胞標的化ペプチド Biozipcode™
↓
生体内の再生部位へ配置
↓
目的細胞がペプチドへ接着
↓
細胞が増殖・集積
↓
材料が徐々に分解
↓
細胞・組織が残り、組織形成を支える

というものです。

Biozipcode™を、単なる薬物送達技術ではなく、細胞と材料をつなぐインターフェースとして利用することを目指しています。

CELL-TARGETING PEPTIDE

必要な細胞を識別する。

組織再生に利用するためには、まず「どの細胞を再生部位へ誘導したいのか」を決める必要があります。

Biozipcode™では、ファージディスプレイ、in vivo biopanning、NGS、バイオインフォマティクスなどを用いて、特定の細胞や組織へ結合する短鎖ペプチドを探索します。

7アミノ酸からなるペプチドの場合、20⁷ ≒ 12.8億通りの配列候補があります。

その中から、

目的細胞へ結合する配列
と
他の細胞へ結合する配列

を比較し、より選択性の高い候補を絞り込みます。

組織再生では、この細胞認識能力を利用して、再生材料に「どの細胞を呼び込むか」という機能を付加することを目指します。

MATERIAL AS A CELL-SELECTIVE SCAFFOLD

材料を「足場」から「細胞を選ぶ足場」へ。

再生医療では、細胞が接着・増殖するための足場となる材料をscaffold(スキャフォールド)として利用します。

Biozipcode™をスキャフォールドへ組み込むことで、

CONVENTIONAL SCAFFOLD(従来型の足場材料)
細胞が接着・増殖できる物理的な環境を提供する。

から、

CELL-TARGETED SCAFFOLD(細胞標的化スキャフォールド)
特定の細胞を認識するペプチドを材料表面に担持させ、目的細胞の接着・集積を促す。

という機能化を目指します。

FROM DRUG DELIVERY TO CELL RECRUITMENT

「薬を運ぶ技術」から「細胞を集める技術」へ。

Biozipcode™の基本的な考え方は、標的を認識することです。

医薬品開発では、

Biozipcode™ + 薬剤
によって目的細胞へ治療を届けます。

一方、組織再生では、

Biozipcode™ + バイオマテリアル
によって目的細胞を再生部位へ誘導することを目指します。

つまり、同じ細胞標的化プラットフォームを、

DELIVERY(薬剤を細胞へ届ける)

から、

RECRUITMENT(細胞を再生部位へ呼び込む)

へ展開する研究です。

CELL-FREE APPROACH

細胞をあらかじめ移植しない再生医療の可能性。

本研究コンセプトの特徴の一つは、患者自身あるいは生体内に存在する細胞を材料側から呼び込むことを目指している点です。

一般的な組織工学では、細胞を採取・培養して材料へ播種した後に移植する方法もあります。

一方、細胞標的化スキャフォールドでは、

材料を配置する
↓
体内の目的細胞を誘導する
↓
材料上で細胞が接着・増殖する

というアプローチへの発展を目指します。

これが成立すれば、特定の用途では細胞採取・培養・移植工程を簡略化できる可能性があります。

ただし、「細胞移植が不要になる」ことはまだ臨床的に確立された成果ではなく、今後検証すべき研究仮説です。

BIOZIPCODE™ AS A MATERIAL INTERFACE

ペプチドで「材料と細胞」をつなぐ。

本パイプラインにおけるBiozipcode™の役割は、薬として細胞に作用することではありません。

Biozipcode™を、Material ↔ Cellの間をつなぐ細胞認識インターフェースとして利用します。

この考え方によって、

どの材料を使うか
だけではなく、

どの細胞に接着してほしいか

まで設計した再生医療材料の開発を目指します。

MULTI-CELL TARGETING

一つの組織には、複数のBiozipcode™。

臓器・組織は、多数の細胞種によって構成されています。

そのため、複雑な組織を再生するには、一種類の細胞だけを誘導すればよいとは限りません。

将来的には、

Biozipcode™ A → 内皮系細胞
Biozipcode™ B → 周皮細胞
Biozipcode™ C → 組織前駆細胞

のように、複数の細胞標的ペプチドを組み合わせることで、より複雑な組織構造を再構築することを目指します。

これは、Biozipcode™を「細胞の住所録」として蓄積する研究ともつながっています。

CURRENT DEVELOPMENT STAGE

現在の開発段階

本パイプラインは現在、RESEARCH / PRECLINICAL RESEARCHの段階に位置づけています。

Biozipcode™を利用した細胞標的化技術そのものには、神経系やがん等を対象とするペプチド探索・標的化研究の蓄積があります。

一方、細胞標的化ペプチドを組み込んだ組織再生スキャフォールドについては、基礎研究・前臨床PoCを積み重ねる段階です。

TISSUE REGENERATION CONCEPT

細胞標的化による再生コンセプト

Biozipcode™を用いて、組織再生に必要な細胞を選択的に認識し、再生材料へ誘導することで、細胞の接着・集積や血管形成、組織形成を支える新しい再生アプローチを研究しています。

創傷治癒・皮膚再生、血管を伴う組織修復、神経・軟部組織などへの応用を見据え、細胞とバイオマテリアルをつなぐ再生技術の開発を目指します。

APPLICATION 01

創傷治癒・皮膚再生

細胞の住所を見つける

本パイプラインで重要な応用候補の一つが、皮膚損傷や創傷治癒です。

火傷や大きな皮膚損傷では、損傷部分を覆うだけでなく、

  • 血管形成
  • 真皮形成
  • 上皮化
  • 細胞外マトリックスの再構築

など、複数の再生過程が必要になります。

Biozipcode™を用いて必要な細胞を材料へ誘導することで、より生理的な組織修復を支援する再生材料への応用を研究します。

APPLICATION 02

血管・組織修復

その住所へ治療を届ける

組織再生には、細胞だけでなく血管形成と血管周囲環境も重要です。

これまでの研究では、骨髄由来細胞が内皮細胞、周皮細胞などとして臓器修復に関わる可能性や、血管周囲のvascular nicheが組織再生に重要であるという研究モデルが示されています。

Biozipcode™を用いて、

  • 内皮系細胞
  • 周皮細胞
  • 組織前駆細胞

など特定の細胞集団を識別・誘導できれば、血管形成を伴う組織修復技術へ応用できる可能性があります。

APPLICATION 03

神経・軟部組織への応用

治療を運ぶ仕組みをつくる

Biozipcode™の基盤研究には、DRGニューロンや脊髄、ミクログリアなど、神経系細胞を標的とした研究実績があります。

こうした細胞標的化ペプチド探索の技術を応用し、将来的には神経や周辺組織の再生を支援する材料開発へ展開することも研究対象となります。

ただし、現時点では具体的な臨床用神経再生材料が確立しているわけではありません。

どの細胞を呼ぶか

OUR GOAL

材料そのものに、
「どの細胞を呼ぶか」という情報を持たせる。

従来の再生材料は、細胞が増殖するための「場所」を提供することが中心でした。

Biozipcode™による細胞標的化を組み合わせることで、将来的には、

どの細胞を
どこへ集め
どのように組織をつくるか

まで設計する再生医療材料へ発展させることを目指しています。

TARGET THE CELL.
GUIDE THE CELL.
REBUILD THE TISSUE.

細胞の持つ自然な再生能力と、Biozipcode™による細胞認識技術を組み合わせ、新しい組織再生プラットフォームの構築を目指します。

パートナー

PARTNERING

新しい再生医療材料を、ともに。

本パイプラインでは、特に以下の分野の共同研究・共同開発パートナーを求めています。

  • 形成外科・創傷治癒
  • 再生医学
  • 皮膚科学
  • 幹細胞・前駆細胞研究
  • 血管生物学
  • ペプチド科学
  • バイオマテリアル
  • 生分解性ポリマー
  • ハイドロゲル
  • 3D scaffold
  • tissue engineering
  • 医療機器
  • 非臨床安全性
  • 製造・CMC
  • 医療機器・再生医療規制

パイプライン一覧

パイプライン一覧

糖尿病、がん、組織再生を中心に、治療候補、バイオマーカー、細胞標的薬など複数の研究開発プログラムを進めています。

糖尿病根治治療候補

糖尿病を持続させる病態への介入を通じ、治療終了後も効果が持続する完全寛解を目指した治療候補を研究しています。

糖尿病幹細胞バイオマーカー

糖尿病幹細胞に関連する細胞やシグナルを測定し、病態評価や患者層別化、治療反応の確認への応用を目指しています。

Biozipcode™糖尿病細胞標的薬

糖尿病幹細胞を認識するBiozipcode™と治療用分子を組み合わせ、対象細胞へ選択的に作用する治療技術を開発しています。

がん細胞標的薬

がん細胞を選択的に認識するBiozipcode™を活用し、抗がん剤や遺伝子などを標的細胞へ届ける新たな治療法を研究しています。

細胞標的化による組織再生

細胞を誘導するペプチドとバイオマテリアルを組み合わせ、創傷治癒や組織再生を支援する医療技術の開発を目指します。